2013/07/14

リヤ内装変速機、パーツ構成

Rear Hub's construction of Moulton Standard '65 / STURMEY ARCHER FW 4Speed
モールトンスタンダード '65 リヤ内装変速機

STURMEY ARCHER
FOUR - SPEED
ENGLAND FW 65 7
重 量:1,158g


納車時の試走で変速機の具合が悪いのはわかっていました。変速がシャープに決まらず3速しか実感できなかったことと、時々ギア抜けしてしまうことがあったため、ギヤ欠けを心配しつつ分解してみました。古いグリースを洗浄してパーツと動作を点検してみたところ、ギアは摩耗等により動きが渋く引っかかる感じがする箇所がありますが、致命的な欠損はみうけられません。うまく変速しない原因は他にありそうです。

しばらく変速機構を観察しましたが解らない点が2つ。

【1】ギアがフリーになるクラッチポジションが存在する
クラッチ部の4速(高速)と3速の間、または3速で、インプットが完全にフリーになってしまい変速機構にパワーが伝わらないクラッチポジションが存在します。試乗時のギア抜けと感じたのは、クラッチがこのポジションに入ってしまったためだと思われます。シフターを見ると4速と3速間の引き代だけ大きくなるように設計されているので、ギアがフリーになってしまうポジションを一気にジャンプする仕様なのかもしれません。4速ではクラッチがプラネットギアボックスに直結されますので、その動作を確実かつソフトにするためにアロワンスなのでしょうか。

【2】サンギアがスイッチしない
プラネットギアの入力方向の入れ替えと、クラッチ直結で3速は理解できましたが4速目はどこでしょうか?この変速機には2個のサンギアを切り替えて減速比を変更できる機構があります。これが2速と3速の間で切り変われば4速が実現しそうではありますが、しかしインデックスチェーン(変速チェーン)を引いてもサンギアは微動するだけで、ギアが切り替わるほどストロークしてくれません。引き代の問題ではなくプッシュロッドがサンギア用のアクスルキーを押し始める位置がおかしいためと思われます。

※変速機の動作に誤解がありましたので文末に追記しました。


ところでこの変速機のインデックスチェーンは先端がメスネジになっているタイプ。ハンフリー側から差し込むプッシュロッドの先端がオスネジになっていてかみ合います。

プッシュロッドの旋盤加工はインデックスチェーンを引くと、まずはじめにクラッチ用のアクスルキーが動き、少し遅れてサンギア用のアクスルキーが動くというタイミングどりに密接な関係があるようなので、これらのパーツになんらかの問題があるのかもしれません。


そんなことを妄想していると、疑心暗鬼になり、些細なことでも不調の原因につなげてしまいます。

インデックスチェーンには修正をした痕跡があります。本来21212121212と、きれいに並ぶはずのリンクがいいかげんに接がれています。たぶんオリジナルは細かいピッチの11リンクだったと思われるのですが、異なるピッチが混ざった小(21)+大(121212)の哀しいハイブリッド8リンク。

妙な部分はすっきり解決したい気持ちはやまやまですが、深追いすると痛みが深まる可能性が高いので、とりあえず不調は不調としてうまく付き合ってゆこうと思います。



Disassembling of STURMEY ARCHER FW 4-SPEED

【反フリー側から着手】
コーンを外しておかないと変速機が外せません。アクスルにフラットな面があるので、ホルダーなしでバイスに固定することができます。

・ロックナット
・コーンロックワッシャー
・コーン

普通のハブのメンテと同じです。ハブレンチは15mmと16mm。15mmは普通のレンチでもOK。
【ベアリングの取り外し】

・ダストカップ
・ベアリング + リテーナー

ダストカップはウェスをあてがってレンチをスペーサーにしてマイナスドライバー(PB #3)で外しました。
※変速メカを取り出すのが目的の場合は、これらを外す必要はありません。
【フリー側にサイドチェンジ】
【スプロケットの取り外し】

・ロックリング
・スペーサーワッシャー
・スプロケット
・スプロケットサイドダストカバー

ロックリングはマイナスドライバー(PB #1と#2)で外しました。
※変速メカを取り出すのが目的の場合は、これらを外す必要はありません。
【ボールベアリングカップを緩める】

ベアリングカップの外周上2箇所に切り欠きがあるので、その部分にタガネ等で衝撃を加えて緩めます。ネジ切りは正ネジなので緩める時は反時計回りです。ハブシェルが回転すると力が逃げるので、ハブシェルとタガネを片手で保持して反対の手のハンマーで叩きます。私は大型のマイナスドライバーを使いましたが、若干コツが必要な作業なのでハンドリングの良いタガネの方が確実だと思います。

【変速メカを引き抜く】
劣化して硬くなったグリースがこびりつき、ところどころサビが発生しています。
【バイスにセット】

【コーンの取り外し】
コーン一緒にクラッチスプリングが出てきます。

・ロックナット
・コーンロックワッシャー(爪つき)
・コーン

ハブレンチは15mmと16mm。ロックワッシャーが爪つきなのでダブルナットを緩める操作は必要ないため、普通のレンチの方が良いかもしれません。

【クラッチスプリングの取り外し】
引き抜くだけです。

・スプリングキャップ
・クラッチスプリング

※この作業からはバイスから外した方が手際よくできます。ちいさなパーツがあるので紛失には注意。
【ドライバーの取り外し】
引き抜くだけです。

・ドライバー
・ダストカップ
・ベアリング

面倒なので、ダストカップとベアリングは付けたままです。
【ボールベアリングカップの取り外し】
引き抜くだけです。

・ボールベアリングカップ

面倒なので、ダストカップとベアリングは付けたままです。
【ギアリングの取り外し】
引き抜くだけです。

・ギアリング

ギアリングはラチェットは付けたまま外しました。
【クラッチ部のチェック】
クラッチ部を形成する4個のパーツ全てに向きがあります。分解してバラバラにする前に正しい状態を確認しておきます。
【アクスルキーの取り外し】
引き抜くだけです。

・スラストワッシャー
・アクスルキー
【クラッチの取り外し】
引き抜くだけです。

・クラッチ
・クラッチスリーブ

写真では残っているクラッチスリーブも取り外します。
【遊星歯車機構】
この変速機の心臓部は、スライドしてスイッチ可能な2個サンギアの周囲に3セットのプラネットギアを配置する遊星歯車機構です。

※作業に支障はありませんが、これ以降の写真は、左側がフリー側なので注意。
【プラネットギアの取り外し】
プラネットギアの固定はピンが入っているだけで、簡単に抜けます。

・プラネットギア x 3
・ピン x 3

サンギアが見えてきました。
【プラネットケージの取り外し】プラネットギアと取り外すと、引き抜くことができるようになります。

・プラネットケージ

プラネットケージは、ラチェットを取り付けたまま外しました。サンギアのユニットも分解可能ですが、折り曲げタイプのロックワッシャーで、セッティングを固定しているようなので、いじらないことにしました。
洗浄して仮組みしてみましたが、全ての部品がカチッカチッと収まる感覚は、まるで良質なパズルです。分解組み立てを繰り返せば、ボケ防止に役立つこと間違いありません。

追記:2013/7/14
maispon さんのコメントで紹介いただいたサイトを訪問し、小さなケースに広がるスターメーの宇宙を垣間見ることができ、サンギアがスイッチしない理由がわかりまし た。私が変速機構の動作を正しく理解していなかったためで、答えは「もっと強く引く」でした。あまりに単純な誤解でちょっと恥ずかしいのですが、トグル チェーンを引いてクラッチがロー側に移動しきったところで、それ以上引けないと思いこんでいたためです。実は、そこからはクラッチスプリングを縮めている 上に、サンピニオンスプリングとコンペセータースプリングの2つを縮めなければならないため、とても引きが硬くなるのです。サンギアのスイッチは2速から スーパーロー1速の間で行われます。 maisponさん、ありがとうございました。

STURMEY ARCHER FW の詳細な記述があるブログ > UGの兄♭♭♭のブログ



4 件のコメント:

  1. みだめさん

    スターメーの記事を読んで目がさえて眠れなくなりました・・・

    とても私の文章力では説明出来そうに無いので参考になりそうなサイト貼っておきます。

    http://blogs.yahoo.co.jp/ugbros/folder/500885.html

    http://hadland.wordpress.com/2012/07/02/elegy-for-sturmey-archer/

    http://www.wind.sannet.ne.jp/m_matsu/prius/ThsSimu/

    返信削除
    返信
    1. maisponさん
      誠にありがとうございます!
      とても参考になったというか、そのものズバリでした。

      ご紹介いただいたサイトには、詳細な分解図や
      変速機の動作だけでなく、分解~組み立てのコツや注意点が
      丁寧に紹介されており、それに比べて私の記事は、
      まるで幼稚園児のお絵かきです。
      はず、恥ずかしい、、、

      事前によく調べもせず闇雲に突っ走ってしてしまう
      私の悪いクセが出てしまいました。
      誤解していた部分は一部追記を加えるにとどめ、
      恥ずかしい早合点は戒めのためそのままにしておきます、笑。

      今後とも、どうぞよろしくお願い致します。感謝!!!

      追:特に理解の手助けとなってくれた「UGの兄♭♭♭のブログ」の
      管理人様には後ほどご挨拶しておこうと思います。

      削除
  2. 凄く綺麗になってきましたね!
    こうやってパーツを簡単に分解出来る方を、ほんと羨ましく見てます(^^ゞ
    私は、一人では触りたくありません(笑)みだめさんが側に居てくれたら。

    みだめさんのこのBlog、見る人が見たら、とても感激するBlogだと思いますよ。
    素晴らしい!

    返信削除
    返信
    1. ゆるポタさん
      お褒めのお言葉を頂戴しましてありがとうございます。

      スターメーの変速機の分解は始めてでしたが
      ユーザーがメンテすることを前提としている懐の深さに感心しました。

      >側に居てくれたら
      いえいえこちらこそ、もし、ゆるポタさんが側にいてくれたら、笑。
      特に写真につきましては、教わりたいことが山ほどあります。
      理屈だけではダメなことはわかっているんですが、、、

      今後ともよろしくお願いします!

      削除